《MUMEI》

「大地ッ!!」



「おぅッ!!」



センターから上がって来た要へとボールが回る。



(何仕掛けて…)



ヒュッ…



次の瞬間、


要はゴールに背を向けた状態でパスを出す。



(こっ……)



ディフェンスの密集地帯。


ここにパスはないというディフェンスの思考の裏をかき、



(…ちかいッ!!)



ポストの市原へと。



(さっきのご褒美だ。
1本…チャンス譲ってやんよ。)



「それにしちゃ…」



(随分と厳しい場面だな!!)



パスは通る。


高校レベルでは高等なパスプレーといえた。



「ふぬッ…!!」



が、



ガシッ!!



やはり密集地帯。


ディフェンスを掻い潜ることは難しく、


体を押さえられる。


次の瞬間、



ヒュッ…!!バンッ!!



市原は無謀なシュートを打ち、


その場に倒れる。



「は…?」



苦し紛れとはいえ、
少し疑問の残るシュートだった。


もちろんシュートは外れ、


村木がそれを拾う。



「ピーッ!!!!!」



速攻に走りだそうとした両サイドの足を止めるよいに、


審判の笛が鳴り響いた。



「?」



さっ…



「赤高7番ッ!!」



「なっ…」



(俺ぇぇッ!?)



納得のいかない表情で、
渋々と椎名は手を上げる。


椎名はプッシングを取られ、


同時に、


イエローカードを突き付けられる。



(カードもかよ…)



しかも、


審判の判断はシュートモーションプレー中のファール。


7メートルスローが秀皇に与えられる。



「ふぅ〜っ…」



(あぶね〜あぶね〜。)



(この…ガキ…)

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