《MUMEI》
回想
ちょっとずつ私たちの歯車は食い違っていった。

2年くらい前。

彼が忘れたカバンから落ちた手紙。

何気なく見た差出人は

知らない女の人だった。


(誰?知らないこんな人・・・。)


今まで安心しきっていた私の足元は、

あっという間に崩れていった。


不安。

疑惑。

不信感。


どんどん大きくなるこの生き物を

私は止められなかった。

確実に私の心は蝕まれ、

今までの日々が何の力もないように、

そう思えてしまった。


そんなはずないのに。

大切だってわかっていたのに。

真っ暗になった私には

何も見えてなかった。

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