《MUMEI》
須藤さん
「おい!どこ連れて…」
あ、スリッパの色が…
「どこ連れて行くんですか…?」
この人先輩だったのか…
ちっこいからてっきり同い年かと思ってた。
「ここだよ。」
桜の木だ…
昼休み、俺が教室から見てた桜とはまた違う
体育館裏に咲いてる桜。
なんでこんな所にあるのか分からないけど…
「ここね、サボるには絶好の場所なんだ。」
「へぇ。って先輩もサボりですか?」
さっき、ここに連れてくるまで散々『サボりはダメ』って言ってたくせに。
「う〜ん、先輩か…。なんか擽ったいな。名前で呼んでよ!」
「いや、聞いてないですし…。」
「そうだっけ?」
そうだよ!
「アヤメ。」
「あの、苗字は…?」
さすがに下の名前で呼ぶのは抵抗がある。
「須藤だけど。」
「じゃあ、須藤さん。須藤さんもサボりですか?」
「まぁね。ちょっとした生き抜き。」
須藤さんはそう言って大きな桜の木を見上げて
大きく深呼吸した。
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