《MUMEI》

「やっぱりか…」



悟ったように秀皇監督は呟く。



「な…何でだよッ!?
スピードもコントロールも別段優れてるシューターじゃねえだろッ!!」



「何でか…?
そんなん…俺が聞きて〜よ…」



絶望的な一言だった。


言葉の内容と同時に、


上野の態度が選手たちの不安を煽った。



「何でかは正直俺にもわからん…


だが現にシュートは入ってんだ。


何かある。


そう考えた方が納得がいく。」



「…」



選手たちは黙る。



「そもそもケガが理由でスタメンから外れてたようだが、


ケガをしてる様子が微塵も感じられない。


向こうがそうまで隠したかった。


そう考えれば全てのつじつまが合う。」



(た…しかにな…
向こうがあいつのことを隠そうとしてたのは明らかだし…)



「ちなみに上野?」



「…はい?」



「あいつ…ポスト以外のシュートを止める自信は?」



「…あります。


似たり寄ったりの位置から打って来るし、


市原以外のとこはあの程度のセットじゃ抜かれない。


逆に市原のとこから打って来るってのがわかってんなら的を絞りやすい。


両サイドのシュートも、


右45のロングも連取を許すまでには至らないはずです。」



「…そこに関しては自信があるわけだ。」



「…はい。」



「んなら話は早い。」



最後まで述べずとも、
今後の作戦の内容は全員が理解できた。



「ポストを集中マークだ。」



「おすッ!!!!!!」



沖を抑える。
秀皇。最後の作戦が決まる。

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