《MUMEI》 \/\/\/\/\/\/\/\ その頃―――… この日オフの大志磨優子は、自宅でぼんやりとテレビを観ていた。 ちょうどA?Bがイメージキャラクターをつとめる、グミ入りキャンディーのCMが流れているところだった。 「あ〜ぁ、アタシって何でこの前の総選挙で1位になっちゃったんだろ?」 優子は鼻をほじりながらポツリ呟いた。 視線の先には、水着姿で「Everydayガーターベルト」を歌いながら、躍動する前田圧子の姿があった。 「どぉー…してもセンターに立ちたかったから、全財産はたいて組織票を調達したけど…。 …所詮、アタシにセンターなんて務まるワケ無いんだょねー…。」 優子は鼻クソを指で丸めながら、前田圧子に有って自分に無いモノを実感する。 「…アイドルの“器”かぁ…。」 ―――…ピンッ! 丸められた鼻クソは指で弾かれ、どこかへ飛んでいった。 「やっぱ、アタシごときが……あっちゃんを越えるなんて、大それたこと考えちゃいけなかったんだ…。」 三十路も間近に迫った女は、いつまでも後悔にさいなまれていた――…。 : : \/\/\/\/\/\/\/\ 前へ |次へ |
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