《MUMEI》

ブォ――――――…ン








車の窓から入り込む風が髪を靡かせる








空は快晴、僕は曇天。




――――ハァ、







何回目のため息だろうか
…いや、数えることすら憂鬱だ






車の振動で荷物が揺れてガタガタうるさいし、隣に座っている弟の廉はテンション上がってうるさいし、


本を読みたいけど車酔いするから読めない。






―――――ハァァァァ、














「もうすぐでお婆ちゃん家に着くぞ―」

「ふ――――ん」

「お婆ちゃん家!?お父さん、お婆ちゃん家ってお婆ちゃんいるの?」

「あ―いるぞ―お婆ちゃん!」

「やった―!お腹すいた―!」










小学生は何言ってるのかさっぱりわからない。











「………………………」







何もない外の景色を眺める






――――ほんと田んぼばっかりだな。









ただ、ボ―ッと何気なしに見ていると自転車に乗った通行人が視界に入りそして車は追い越して遠のいていく…







「………………………」







……ん??









「―――――ッ!」










違和感を感じ、バッ!と勢いよく振り向き後ろのフロントガラスを見た









「馬ァァァァァァァ!」

「は!?」








馬だッ!遠のいて小さくなっているが確かに馬だった!









「ど、どうしたの菜月ビックリするじゃない」

「か、かか母さん、今、今馬が自転車に乗ってた。頭だけ馬の…」

「いゃあね―、どんだけ顔が馬みたいでも口にしたら失礼よ?その人のコンプレックスかもしれないんだから」

「いや、アレ人種の域を越えてたよ。馬そのものだった……「お兄ちゃん、もういいからさ……………座席で暴れないで」

「……………………」










(廉)コイツは性格の温度差が激しい、小学生らしい無邪気な一面があるかと思えば今みたいに一気に冷めた態度に豹変する。







最近の小学生はわからない。










僕は黙って座り直す











「お、見えてきた見えてきた!」

「ほんと?やった―!」

「……………………」










また小学生らしい表情に戻った廉を横目で戸惑いがちに見る。











 

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