《MUMEI》

 



バタン。









「やっぱ変わってないな―落ち着く―」

「ほんと久しぶりねぇ、お母さん元気にしてるかしら」

「わ――い!今日からここが僕の領地だ――」
「物騒な言い回しはやめなさい廉、しばくわよ?」









楽しそうに走り回る廉に対し母さんは笑顔で注意する。












バタン。





僕は自分の荷物を持って一足遅く車から出た






まず今日から住む家の第一印象……………








ボロッ。










こんなにボロかったっけ、確か最後に訪れたのが小5の夏休み…


記憶とは曖昧なもので時が経つにつれ景色や建物は綺麗なものに捏造される。



だからだろうか、記憶と現実のギャップでとことんボロく見えてくるのは、











「他の荷物も今日中には届くだろうからとりあえず皆中に入るか」









そう父さんは言って玄関のほうへと歩き出す。自然と母さんも廉も僕も父さんの後ろに着いていく…











ガララ、




「母さんただいま―正和です―」









玄関の引き戸を開けいきなり大声を出す。







……………インターホンも無いのかよ










「あれ?居ないのか?お――――い母さ……「新聞は要らんゆうとろうがッ!」

ゴガン!!!



「がふゥッ!」











ばたん、と何故か倒れた父さん。玄関の奥で何が合ったのか外にいた僕等はわからない



とりあえず駆け寄ってみる。









「お父さん!?大丈夫?」









心配をする母さんに父さんは笑顔で、







「グッジョブ」







あぁ、大丈夫みたい。
残念なのは頭のほうみたいだが、多分治らない。馬鹿に効く薬は無いから






すると引き戸がひとりでにガララと音を立てて開いた。

中から出てきたのは、












「ほ―なんだい正和かい、それならそうと言やいいのにセールスと思っただろう。ったくこの子は……おや!美由紀さんいらっしゃいいらっしゃい」

「ど、どうもお母さん、お久しぶりです。すみません今日からお世話になります」

「いやぁ固っ苦しくしないでさぁ、この家に私一人はなんだか大き過ぎてねぇあんた達住んでくれたら丁度になるよ」

「どうもありがとうございます」

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