《MUMEI》

 






「!、おや大きくなったねぇ菜月に廉も」

「…こんにちは」

「こんにちは!」








ペコリと一様お辞儀をする。










「あらあらかしこまっちゃって、偉く大人びたわねぇ昔はあんなに泣き虫さんだったのに」








その言葉に反応した廉はニヤリと此方に顔を向け、











「泣き虫ね―見たかったな―僕」
「黙れ」







可愛くない弟だ











「廉もいつの間にかこんなに成長して、前見たときはこ―んなちっさかったのに」









そう言うお婆ちゃんは例えるように手を出すが地面から10pの高さしかない









いや、それは無いから








内心ツッコミを入れる








「ほら!正和起きな!スリコギで殴られたぐらいで寝そべってんじゃないよ、ったく」

「「「…………………」」」








僕、母さん、廉はお婆ちゃんのその恐ろしいセリフに青ざめる










1日目からして不安になってきた僕だった。










□■







………うッ、ヒック ぐすッ…








ポタポタと涙が次から次へと溢れ出す。


なんで泣いてるのかなんて忘れた




そしたらへたっていた自分の場所にもうひとつの影があらわれた。

不思議に思い上を向く、










「泣くなって」

「………いくちゃん……」








そこにいたのは栗毛の可愛い子、

夕焼け空と淡さってその髪はキラキラと綺麗に映えていた










「ったくどうしたの泣いたりなんかして、誰かにイジメられた?」

「……………」







その問いに僕は頭を横に振る。








「え、違うの?じゃあ何?」

「……………お婆ちゃんが大事にしてた星屑の砂時計川に落としちゃって……帰れないよ、きっと怒られちゃう」






あぁ、そうそう
泣いていた原因はこれだ。

砂時計が凄く綺麗で外に持ち出して遊んでたらスベッて川に落としたんだ








「だからこんなとこに座ってたの?……………よし、だったら一緒に謝ってあげるよ」

「へ?」

「誰かと一緒に謝ったほうが帰り安いだろ?夜になったら心配しちゃうし、ほら行こッ!」










そう言って差し伸べられた手、僕はその手の上にゆっくり自分の手を重ねた





「いいのいくちゃん…」


「はは、いいってこんくらい」






優しくて眩しいくらいの笑顔、




そうだ、この子が…
僕の初恋だ。








 

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