《MUMEI》

 




スタスタスタ








正直行きたくない気持ちが足を重くさせる。



太陽はジリジリと僕を焼き付けるし、蝉の音がさらに僕を暑さに追い込む…









前通ってた学校と差がありすぎる








もう嫌だな―。とか汗だくで思ってると何処からか鼻歌らしきものが聞こえてきた…








♪〜〜♪〜








―――――え!?









キョロキョロ見渡す、

自分の耳を頼りに微かに聞こえる鼻歌の発信源の元に向かう










そして、










「♪〜〜♪〜〜あなたは〜もぉ〜忘れたかしらぁぁぁ」

「………………………」











生徒が使用する外の手洗い場でタオル一枚しか身に付けてない男が陽気に鼻歌を歌いなからいかにも自分の風呂みたいに頭を洗っていた。











「フフフ〜ン フフフ〜ン フフフフ…………ってぎゃぁぁぁぁぁぁ!!」

「!!?」










僕に気付いた途端大声をあげる謎の男、

僕までその声にビクッとする。











「き、きき君いつからここに…!?」

「え……さっき?」










動揺しながら指を差し顔を青ざめる











「だ………………誰か―――ッ!変質者が――――ッ!」

「アンタだよ!!!」











わぁわぁ叫ぶ謎の男をどうにか静かにさせようと頑張る


そして抗争すること約5分…………











「おぉ、そうかそうかお前が今日来ると言っていた転校生か、なんか思っていたより地味だな」

「初対面の人間に対してこんなに毒吐く人も珍しいよね」










ハハハ、と空笑いをこぼす。









にしても何なんだこの人、見た目的に高校生じゃないよな。確実二十歳は過ぎている…










「あの…………」

「ん?」







一番気になっていた事を聞く










「ここで何をしてたんですか」
「入浴」


「………………何で学校で?」

「妖精だから」










…………………………?











「えっと……」

「この学校の妖精だから」

「………………………」











スタスタスタスタスタ











ヤバい。おかしい、頭おかしい!父さんよりもおかしい!!









早くその場から逃げようと早足で自称妖精男から離れようとしたが、







「グァッ……」










いきなり後ろから十の字固めを決められ身動きがつかない。











「何で逃げるんだ?何処に逃げる必要性が?」

「何処もかしこもアンタの存在そのものだろ!」

「酷い!人の入浴タイム覗き込んどいてその言い方、最も悪いと書いて“最悪”!!」

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