《MUMEI》 信頼し、どんな時も仲間のために夢の中にいるようにただただ流されるように、人生が過ぎて伊藤未来は18歳になった。 小中高と学年で上位に入るそこそこ良いの頭に卒業式で一気に十人に告白されたというそこそこ良い顔立ち。 そこそこな人生。 しかし、2歳の時に父親を事故で亡くすという少し不幸な人生。 でも、そんな人生が嫌な訳ではなかった。父親の事はさっぱり覚えてはいないが、写真を見れば優しかった事ぐらい感じれる。それは未来にとって嬉しいことだ。 友達には少し苦労した。どうしても女の子とは話せない。男の子と話すのは、全然平気なのに何故か、女の子と話すのはドキドキする。 その為に、今までちゃんとした女友達ができたことがなかった。その代わり、男友達はしっかりいて未来はしたわれていた。 恋人だってできたことがなかった。みんな友達として、付き合ってしまうからだ。 そんなこんなで未来のそこそこな人生は続きそうだった。 教室へ向かって歩いてくる集団が見えた。先頭を歩くのが伊藤未来だ。そしてその後ろには五人位の男が付いてきた。一番右側を歩くのが田辺聡、となりを歩くのが中村秀介、そのとなりが佐藤陵大、酒井幹。そして一番左側を歩くのが山崎拓哉だった。 堂々と歩く、六人の姿は素晴らしいほど綺麗だった。 幹は聡に聞いた。 「聡。今日、一時間目授業なんだったけ?」 秀介はいった。 「数学。」 表情の変わらぬまま、秀介はいう。すると同時に皆が声を合わせて言った。一言だる~、と。 その瞬間に周りの目は一気にどこか違う所に向くのである。 一時間目の授業は秀介以外の五人にとって、あまりにも退屈過ぎた。未来は居眠りをした。彼女にとって数字は子守唄に過ぎなかったからだった。 そして見つかってしまえば、耳元でうるさい教師の声が飛ぶのであった。 放課後は皆で陵大の親戚が経営するバーで集まるのが習慣だった。 この場所に居れるのは、バーには未来たちしか居ないからである。経営を始めて五年が経ったというのに未だに流行らないのか店主である圭介にも分からないが未 だに、未来は一度も店に自分たち以外の客がいるのを見たことがなかった。それに深く気にしたことも無かった。 だからいつも、圭介は言うのである。 「ほんとお前たちが来てくれて助かるよ~。まったく、こんなにいい親戚が居てくれて嬉しいな!なっ?陵大。明日も皆の事、連れて来るんだぞ!」 それを陵大は面倒臭そうに聞いていた。 「分かったよ。でも明日は無理、ゴメン。」 陵大がそう言った後に圭介はなんで〜、と大声で言った。それをみて未来は立ち上がり、圭介の元へ近づいて耳打ちをした。 「明日は拓哉の誕生日なのっ!近くのお店でパーティーするの。そういうことだから、宜しく。」 未来がそこから自分がいた場所に戻るまで圭介は固まっていた。 しばらくして、迫ってきた。 「な、なんで?どこの店だよ。お前たち、そういうことなら俺に相談ぐらいしろよ~。そうしてくれたら、俺が全部、用意してやったのに~。・・・分かった、もう覚えたぞ!来年はここにこいっ!」 その後圭介は声を殺すように静かに鳴き始めた。 それを6人は呆れた顔をして眺めていた。 この中で一番の優等生、秀介。男に憧れている幹。しっかり者の陵大。男気のある聡。とぼけた男、拓哉。そして、未来。 未来はこの男たちが好きだった。仲間として信頼をしていた。それは未来だけではないだろう。 皆が、そう思っている。 こうして、仲間の喜びというか悲しみというか、そういうものを分かち合って、祝いあって、泣きあって・・・。これからもそうできればいい、と六人は思うのだった。 しかし未来の人生を変える思いもよらない出来事がこの後、起こるのだった。 前へ |次へ |
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