貴方の中の小悪魔
を知る神秘の占い《MUMEI》Soul in the darkness その2
当初の目的である宿に泊まるべくエグザスは宿屋らしき建物へ入った。
そこには、恐らく宿屋の主人であろうかと思われる老年の男が居た。
「一晩、泊めてくれ」
エグザスは出来得る限り簡潔に目的を告げる。
店の主人は視線をこちらに向け、困った様な顔で言った。
「悪いが帰ってくれ」
「なんでだよ。一晩泊めてくれるだけでいいんだ」
「アンタ、ヴァータに手を出したじゃろ」
今一状況が掴めない。
「どういう意味だ」
「あいつは単なるチンピラじゃ。だが、そのバックにいる奴が……」
「へぇ?そのバックにいる野郎が恐い訳か」
すると男は物凄い剣幕でまくしたてた。
「奴を舐めたらいかん!それで今まで何人もの人間が犠牲になった!」
「俺は死なねえよ。そんな奴、俺が斃してやる」
「馬鹿な事を言うでない!奴は、魔剣士じゃぞ!」
その一言がエグザスに、スイッチを入れた。
「魔…剣士?」
男の首に掴み掛かり、エグザスは問い質す。
「ああ、そうじゃ。ヴァータの魔剣も奴に教えて貰ったに過ぎん」
「オヤジ、そいつは俺が絶対に殺す。だから、一晩泊めてくれないか」
男は目を伏せ、洩らす。
「そんな事、無理に決まって一一一一」
その時、男はエグザスの目を見た。
其処に映るのは、強い意志。
一縷の望みを、賭けてみよう。
そんな気分に、成った。
「判った。仕方あるまい。アンタ、名前は?」
「エグザス・アルティシア」
何処かで聞いた様な名前。
そういえば、そんな名前をした魔剣士を殺す者が現れたと風の噂で聞いた事が有る。
「あんたまさか、狂凱の黒剣か一一?」
「さあな?ま、部屋の準備は早めに頼むぞ」
そう言って、
エグザスは扉を開けて出ていった。
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