《MUMEI》
クロのコート
   赤高ベンチ



「時間がない。早く座れ。」



一時的に追い付かれたとはいえ、


現状は2点差。


そうは思えない程に、


ベンチは緊張感を増していた。



(俺の武勇伝…)



「佑香ちゃんはドリンク。」



「はいッ!!」



「よし。」



マネージャー佑香がドリンクを全員分用意。


1年はうちわで選手たちに風を送った。



「…ここまで来た。」



「………?」



選手たちは顔を見合わせる。



「ここまでの作戦。


そしてこれから伝える最終作戦。


全てを伝えるからよく聞いて。」



「…」



ここまで謎に包まれていたクロの作戦。


その全貌が、


彼らに語られる。















………………………………



………………………………














(マジかこの人…)



(ホントに…そこまで考えてたんか…)



「いい?まだ勝負は終わってないよ。」



「…はい。」



「お前たちが僕の期待に応えてくれるか。


それが最後の壁。


1つ、言わせてもらうのであれば。」



「?」



「それを信じてたからこそ。


この作戦を選んだ。


後は…お前たち次第。」




「ビーッ!!」



「さぁ…円陣組むよ。」



す〜っ…



「しゃあ行くぞぃッ!!」



「おうッ!!!!!!」

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