《MUMEI》

攻撃の連携を崩された秀皇。


リズムの狂った中にできた小さな綻びを、


椎名は見逃さなかった。



「ゴーだッ!!」



ランパスの展開。


こうなると赤高を止める手段はない。



「峰田ッ!!」



「ジャイッ!!」



「ユキッ!!」



「ちっ…」



バスッ…!!



ユキヒロのシュートが決まる。



後半13分47秒。18対15。



「はぁ…はぁ…」



(なん…ってやつらだ…)



秀皇も全力で戻るも、


攻撃を防ぐまでには至らず、


フリーの状態からのシュートを許す。



「はぁ…はぁ…くそが…」



3点差。


一時追い付かれたはずの点差が、


再び離れ始めていた。



「はぁ…まだだ…」



「はぁ…はぁ…」



「はぁ…まだ追い付ける…」



「はぁ…はぁ…」



今、


秀皇が攻略すべきは赤高のマンツーマンディフェンス。


絶えず動き回るディフェンスを掻い潜ることができなければ、


再びカウンターをくらうはめとなる。


となると、


やはりフリーの状態になれる人材が欲しい。


マークマンをスピードで上回り、


パスワークに長けた人材。


答えはもう明らかだった。



「はぁ…はぁ…」



「はぁ…行くぞ…大地…」



「ついて…来れんだろうな…」

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