《MUMEI》

「はぁ…はぁ…」



「ピッ!!」



審判の笛が鳴る。



「はぁ…はぁ…」



待ち構える赤高ディフェンス。



(一度破られたくらいじゃ解除はしないか…


別にいい。


何度でもぶち抜いてやんよ…)



「行くぞぉッ!!」



ダッ…!!



走りだす右サイド要。


手渡しパスで自らボールをもらいに走った。



「うらぁぁッ!!」



追う日高。


スピード負けしている中で彼はよく走っているといえよう。


が、


手渡しパスを防ぐ術はなく、


センターから要へとボールは渡る。



ダッ…!!



間髪入れずに左サイド要がこれに続く。



「ぐっ…!!」



関谷もこれを追う。



キュッ…!!



しかし、


突然のブレーキ…という、


ありがちなフェイクによりスペースを与えてしまう。


相手のスピードが高く、


尚且つこちらがトップスピードで追うという場面では、


実に効果的なフェイクだった。



「ちっ…!!」



「決めろ義人ッ!!」



ボールはフリーの要義人へ。



「キーパーッ!!!!」



一斉に叫ぶ赤高。



(こんな場面で頼ってんじゃ…)



バスッ!!



(ねぇよッ!!)



フリーという状況では、


やはり村木の圧倒的不利。


秀皇要。


しっかりとこの場面でも食らい付く。



後半15分24秒。19対17。

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