《MUMEI》

   赤高ベンチ



「お…沖先輩いつの間に…」



ベンチも騒然。



「体は流れてた…


しかもプロンジョンとは逆の形。


つまり利き手は体の下。


これ以上ないくらい最悪のシチュエーション。


けどあいつは今、


あえてそういう形にしながら打ってた。」



「じゃあ…」



「狙ってやった…ってことでしょ。」



「す…すげぇ…」



「下から浮き上がる軌道の…


しかもスピードを乗せたシュート。


北農クラブの選手が似たようなシュートを打ってるのを見たことあるけど、


あれはサイドから。


しかもフォームが全然違う。


どちらかと言えばフォーム自体は未來のしゃくりあげに似てた。


けどそれとも別物。


本来あれはループとして使ってた技だし、


あれを成功させるには強靱なジャンプ力が必要。


ただ、残念ながら沖にはそのジャンプ力がない。」



「え?え…?
つまり…どゆことすか…?」



「つまりはだ…


未來のシュートを参考にアレンジを加えて自分なりのシュートを作り上げちゃったってこと。


しかもあいつがあんなシュート打ったとこなんか見たことない。


てことはだよ…?


今…この場で練習なしに新シュートを自分の物にした…ってことじゃない?」



「この…大事な場面で…?」



「…センスとしか言い様がないな。


なんにしても、


こんな誤算なら大歓迎だよ。」



「は…はは…す…すごすぎ…」

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