《MUMEI》
カナシミノハジマリ
「じゃ、後でね。」
・・・オレのターゲットはコイツが一番最初だった。コイツはオレの許せない人物の一人だった。
「ヨーコちゃん・・・」
「ひっ・・・!」
ヨーコは目を丸くしてオレを見てた。・・・そうだ。・・・もっと怖がれ・・・。
「お久ぶり。日西ヨーコ(ひにし・ようこ)ちゃん・・・」
「あなた・・・トシアキ・・・?」
・・・コイツ、まだ覚えていてくれたんだね・・・。
「・・・で、どうなの?『あの日』の返事は。」
「いっ・・・嫌よ!!」
「フン・・・もう駄目か・・・」
オレは悲しい笑みをコイツに見せてから、腰から『例のモノ』を取り出して、彼女に向けた。
そしてオレはニッと笑った。
「・・・それは、残念だなぁ・・・・・」
ヨーコは、身体がこわばって動けなかった。そしてオレは、彼女にとって・オレが彼女に言うことにとって
最期の言葉をふっかけた。
「・・・だったら、もうお前に用は無い!!!」
そう言うとオレは、彼女の腹に深く『例のモノ』を突き立てた。
彼女は何も言わずに目をつぶった。
「・・・・ずるいよなぁ。このキミにしかない温もりを、ボクにくれなかったなんて・・・」
オレは服にこびり付いていない彼女の血を、指ですくって舐めた。
「今日からキミはボクが死ぬまでボクの中で生き続けるから、キミを忘れないよ・・・・」

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