《MUMEI》

「私、5番…って、は!?廊下側の1番前じゃんっ!まじないっ」

「あは!梨華子どんまい☆」

「梨華子、遅刻多いから良い席なんじゃない〜?」


"げ〜"と言いながら席へ戻っていく梨華子。

あんな渋い顔、意外に初めて見たかも。

やっぱり、一番前ってないわ、うん。

一番前だけは引きませんように〜。


「えっと、私は〜、8番…て、窓側の一番前じゃんっ」

「亜希もどんまい〜」

「梨華子と超遠いじゃん!こうなったら、私の隣か後ろの12番か9番、愛香引いてねっ」


えっ。12番は嫌だよ、一番前じゃん。

9番なら全然いいけどさ。

そんな時、矢崎健太がくじを引いていた。


「あ…矢崎くん何番だろ…」

「亜希気になるなら聞いてくれば?」

「無理っ!恥ずかしいもんっ」


恥ずかしいって。

亜希らしくないなあ、つまらない。

まあ、矢崎の番号なんて私はどうでもいいから別にいいけど。


そして私もくじを引いて、亜希の元へ。

…うわ!ラッキー!15番!

窓側の一番後ろじゃん♪

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