《MUMEI》

「二人が上手くいってないことを知って、姉さんを内館君に紹介した。

一瞬でいいから、彼に振り向いてもらいたかったの……でも、駄目だった。

いつも姉さんを、姉さんだけを待っているの。



内館君と私は同じ……、二人の絆の間に入れないで浮かんでいただけ。」
 ああ、それはそういう意味のキスだったのか。



「そっかぁ」
自分自身驚く程、落ち着いて客観的にものを見れるようになってた。



「私、最悪だよね……。」



「違うよ、水瀬、誰だって好きな人が自分に向かなければ苦しい、本当に好きなら何だって出来る……って俺はよく解らないんだけど、水瀬を見ていたら思ったんだ。」
少し哀しいけど水瀬の気持ちもよく分かる。







水瀬が赤い目をして、綺麗に微笑んだ……。


「私、木下君を好きになりたかった……」




「有り難う。
俺も、もっと水瀬のことに気付いてあげれば良かった……。」

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