《MUMEI》
記憶
・・・音がない・・・聞こえない・・・ここは、何処?


「・・・」
「なかなか気がつきませんね・・・」
「そうだねー」
「・・・」
(・・・誰?)
「んっ・・・」
「あっ!!起きたぁー!」
「・・・」
「ねぇ君名前は?何処から来たの?」
「・・・」
(何?この人・・・)
「こら空海、そんなに質問しては彼女が混乱してしまうでしょう?」
「ぶーだって気になったんだもん!」
「初めまして、僕はこの教会の聖職者の衣流と申します。あなたの名前を教えていただけますか?」
「・・・」
(名前?・・・私の名前は・・・)
「・・・美理・・・です。」
「美理さん。あなたは何処から来たんですか?」
「・・・わかりません・・・自分が誰で・・・なんなのかも・・・分からないんです・・・」
「記憶が・・無いんですか?」
「・・・たぶん・・・覚えているのは、名前と・・・年齢だけで、それ以外はなにも覚えてないみたいです・・・」
「・・・そうですか・・・美理さん、しばらくここの教会で過ごしませんか?静かで落ち着く所にいればなにか思い出せるかもしれませんよ?それに記憶がないままここを出るのは・・・少々危険なので・・・ね?」
「・・・」
「大丈夫だよ!美理ちゃん!僕がしっかりサポートしてあげるからね!!」
「・・・あなたは?」
「ぼくは空海!衣流と同じ聖職者なんだ!!」
「・・・よろしくお願いします・・・」
「うん!!」
「あとあそこにいる無愛想な男は那於っていいます。かれも聖職者なんです。じゃあこれからよろしくお願いしますね!美理さん!」
「よろしく〜!」
「・・・」
「・・よろしく」

抗う術がなかった・・・記憶もなく、この国のことも知らない私が彼らの誘いを断ることも、拒絶することも、出来なかった・・・ただ流れに身を任せることしか出来なかったのだ・・・



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