《MUMEI》

…あ、亜希が黙り込んだ…。


「愛香も困ってんじゃん。そして私はアンタに呆れた。だけど友達だから、言っとく。周りをちゃんと見て」


梨華子、素敵。

何か、ドラマのワンシーンみたいだった。

やっぱり一人だけ大人びてる。

同い年なのに。梨華子もまだ高1なのに。


「…ごめん、愛香…」

「亜希…」

「愛香が羨ましくて、ちょっと妬んでた。愛香だけ仲良いのズルイって。私ってガキ…。
でも、やっぱり矢崎くん達とは…仲良くなりたいよ…」


…亜希がそこまで言うなら…仕方ないのかな。

梨華子の方を見ると、梨華子は苦笑いをした。

いつもの冷たい苦笑いじゃなくて、何かこう…、もっと深い苦笑い。

"あとは好きにしな"的な?

"あとは愛香に任せた"的な?

うん、多分そんな感じって、意味分からないか。


「分かったよ、亜希」

「えっ?」


また目を丸くして、私を見つめる亜希。

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