《MUMEI》








もぐもぐもぐもぐもぐもぐ





「…………………………」








もぐもぐもぐもぐもぐもぐ









「ねぇ、アンタ本気で重箱持ってきたんだね」

「だからそう言ったじゃん」











机の上に敷き詰められた重箱の箱、
箸は止まることなくおかずを拾い上げて口に入れていく。

一連の作業のように











「おいし-い?花笑」


「うん」



目の前でうなだれながら花笑に話してきたのはもう1人の友達、葵。

じっと重箱の中身を見続ける







「その唐揚げちょうだい」
「……………………」

「あからさまに嫌そうな顔すな」









嫌な顔する花笑の顔を横目にツッコむ七瀬、












プルルルルルル




「もしも―し、どうしたの―」







鳴ったのは葵の携帯だった。
葵は気だるげに耳に携帯をあて会話をする













「へぇ―そうなんだ、アハハ死ねばいいのに」

「………………………」
「もぐもぐもぐもぐ」


「あ―うん、バイバーイ」










ピッと通話ボタンを切る












「……………誰?」






不思議がりながら訪ねる七瀬










「彼氏」

「か、彼氏に死ねとか言うの!?」

「大丈夫アイツMだから」









にこやかな葵に
あ、そう。としか相づちが出来なかった。














「あ―あたしも彼氏ほしいなぁ」

「ムリだろう」

「弁当食いあさってるお前に言われたくねーよ」

「花笑はほしくないの-?彼氏」

「うん。いらない」

「なんで!?」












ゴクッと食べ物を飲み込み、












「なんのメリットにもなんないから」

「「……………………」」









ヒュゥゥゥ…と、3人の間に冷たい空気が流れる









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