《MUMEI》
案内使
真っ暗な夜の中俺たちは、進んでいった.

「…もうすぐなはず.間に合えばな.」

「どこへ…―?」

「案内使のところだ」

案内使…?
一体、どこのどいつだ….

「案内使…って?」

「お前は、シルバースブラインへ行くことだけを考えろ.そのあとのことは
シルバースブラインに着いてからだ.」

奴は黙った.
無言で歩き続けている.
こいつは、無口だ….今わかった.

「もうすぐ着く.」

「…あぁ.」

俺もそれから無口にした.
別に気まずくない、そっちのほうが楽だ.



「…着いたぞ.」


「…ここ??」


着いたのは古ぼけた、公衆トイレ.
こんなところに案内使がいるのか?



「…ローカッス.何の用だね?」

突然トイレの奥から、しわがれたお爺さんのような声がした.

「この声の人が、案内使?」

「…そうだ.」

「ローカッス…、行先は?」

「その前に出て来い.アル…」

ローカッス…?アル…?
一体何のことだ?

「分かったよ.」


シュ―――と耳が痛くなるような
変な音がして、案内使はあらわれた.

「…その子だね」

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