《MUMEI》

わざわざボイスチェンジャーを外したことから、彼が何を欲しているのか察するのは簡単だったわ。



しずか「上出来よ…。ご苦労さま…。」


――… チュッ …



私は軽く背伸びをして、初めての唇を惜し気もなく彼にあげたのよ。



出来杉「…キ…ラ……しず…か…君…」



本来クールな彼の顔が、まるで茹で鮹みたいに赤くなってゆく…。



しずか「クスッ…。」



私はそのナイーブな仕草に微笑を返してあげたの――…。



しずか「私の“はじめて”なのよ…。」



恥じらうような仕草で出来杉さんを見つめると、彼は有頂天な様子で舞い上がっていたわ。

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