《MUMEI》

ーーー…


「ええーと、明日から夏休みに入るが、課題は計画通りにやれよ。怪我はしないように。以上!」


やっと夏休みだ。

何だか、夏休みまでものすごく長かった気がするのは私だけかしら〜。

高校入って最初の夏休みだし、それなりに楽しまなくちゃ。


「愛香!夏休み遊ぼうな!」

「は?健太、馬鹿言わないで」

「…遊ぶくらい、いいじゃん…」


"キスから始まる関係ってのも悪くないんじゃない?"

そう言われてから、私は無意識に健太を避けている。

…というか、警戒している。

不意打ちキスを、されかねないもん。

不意打ちにキスされて、あいつに笑われるのはゴメンだ。


「あ、そーだ!亜希ちゃんと彰、昨日付き合い始めたんだって」

「今日、朝一で亜希に聞いたよ」

「やっぱり?意外と、遅かったよな、付き合い出すの」

「チャラい亜希と変態の彰にしてはね。お似合いだから、うまくいくといいな〜」


"彰くんと付き合うことになったのっ!"

そう言う亜希は、ほんとに幸せそうだった。

散々、亜希に冷たかった梨華子も普通に喜んでて。

あの変態野郎の事だから、内心、ヤること終わらせたら、捨てるんだと思っていた。

だけど、意外と亜希に本気みたいで。

"亜希ちゃんて、どんな男が好きなの?俺、平気かなあ?"

と、彰からメールがきた時はほんとにびっくりした。

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