《MUMEI》
親友の帰り道
「よかったなぁ〜!!一件落着で!!」
「ホントね。やっと落ち着いたわ」
今宵の家からの帰り道、紘と秋葉は並んで歩く。
「今宵も歩雪もいつも通りになるよな!!これで」
「なんなかったらまた説教よ」
「秋葉ちゃんの鬼〜!!」
「鬼じゃないわよ!!!」
紘がちょっかいをかけると、秋葉は素早く反応する。
その秋葉を見て、紘は悪戯っ子のように笑った。
「でもさ〜。今宵、オレのことは【琴吹くん】のままだったなぁ、最後まで。秋葉のことはちゃんと【秋葉】って呼ぶのに〜!!」
「何駄々こねてんのよ。【紘】なんて呼ぶわけにはいかないじゃない。ていうかそれで呼ばれたら歩雪にどんな目に遭わされるか。『あんた』が」
「それは困る!!あいつかなり恐いし・・・・・・」
紘はその場面を想像して震えている。
「それに雪村は男を下の名前で呼ぶことは無いと思うわよ。【歩雪くん】っていう特別なのがいるからね」
「そうだよな〜。っていうかさ。もうくっつけよ、あの2人!!じれったい!!」
「そうよねぇ。あんなに2人とも態度出だしてんだから、いい加減けり着けたらいいのに」
紘と秋葉はなんとなく顔を合わせると、同時に溜息をついた。
もうすぐ幼馴染ではない関係になるであろう2人を思い浮かべて。
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