《MUMEI》

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たまには…いいかな…と思ってあいつにかなたを譲ったんだけど、やっぱりかなたの寝姿を見るだけで抱きしめたくなってきてしまった。

『おい…起きてっか?』

そう小声で聞いてみたが、双子のどっちも可愛らしい顔をして眠っていた。

(結局コイツの言った通り、ベッド一つで良かったかもな…)

かなたのおでこをピンと指で弾くと「うぅ〜ん…」という声を上げながら、はるかにギューッと抱きついていた。

俺もベッドに潜り込んでかなたを抱きしめようとしたが、布団の中でははるかの奴がかなたの寝巻きを握っていて、かなたの手はもう一方のはるかの手をギュッと握っていた。

(…仲良い…な)

俺は一人っ子だから兄弟の感覚ってのは分からねぇけど。

普通…男同士の兄弟って、こんなに仲良くはないよな…。

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(ん…かなたの手ってこんなんだったっけ?)

眠っているかなたの手に触れると、何だか大きくてゴツゴツしていた。

(コイツか…)

ムクリと起きあがってかなたの方を見てみると、あの野郎がかなたの隣に潜り込んで眠っていた。

つまりさっき触ったのはこいつの手だったワケだ…。

「ん…ぅ///」

かなたに張り付いている奴の手を外そうとするが、コイツはかなたの寝巻きの中に手を突っ込んで眠っていた。

「……」

しばらくすると寝巻きの中に突っ込まれた手がかすかに動いて、寝ているかなたがくすぐったそうに悶えていた。

「お前起きてるだろ…」

そう言うと奴は目つきの悪い目をチラッと開けて『黙って寝てろよ…』とでも言うように俺の方を睨みつけてきた。

「クソッ…」

せっかく久しぶりにかなたと一緒のベッドだと思ったのに…。

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