《MUMEI》

どこでもドアを開くと、そこは薄暗い地下のワインセラーだった。



私は冷酷な微笑を湛えたまま、地下室へ一歩足を踏み入れる――…。



すると、微かな異臭が鼻先を擽ったの。



それは、掃除を怠ったトイレのような不快な異臭だったわ。



その臭気の根源を探すように眼を凝らすと――…



ワインセラーの壁際に、ロープでぐるぐる巻きにされた、小さな女の子の姿が目にとまった。



私はニヤリと口元を弛ませる。



それは私がリュークに命じて拐わせた――…




――…ジャイ子ちゃんだったの!

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