《MUMEI》

地元で唯一ちょっと大きくて有名なお祭り。

屋台たくさん。人もたくさん。

私は梨華子の隣をキープ。

自然と徹哉くんは健太の相手をすることに。

亜希と彰は前でイチャイチャしながら歩いている。


…徹哉くんごめんね。

きっとあなたも梨華子の隣を歩きたいよね。

でも私、どうしても健太の隣を歩きたくないの。

こんな人混みだと、2人ずつに分かれて歩くしかない。

私は梨華子の隣がいいんです、どうしても。


「ねぇ、愛香」

「何、梨華子」

「…あんた、矢崎を避けすぎ」


だって嫌なんだもん。

梨華子も私の立場だったら避けるはずだよ!

しかも、健太、馬鹿野郎だし面倒だし…ダルいし。

でも、お祭りという楽しい場でも避ける私って最悪なのだろうか…。


「…梨華子…徹哉くんの隣歩きたい?」

「別にいいけどさ…徹哉は…」

「ねー、みんな!金魚すくいしようよー!」


…亜希、まじでKY。

言葉を遮られた梨華子は得意の苦笑い。

怖い怖い、怖いから。

今、ゾッとしたから。

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