《MUMEI》

「おじさん、金魚すくいやる!6人だよー」


さっさと座り込む、亜希達。

梨華子もダルそうに座り込む。

その梨華子の隣に徹哉くん。

…やっぱり、私は自動的に健太の隣だよね。

もう、いっか。どうにでもなれっ。

さっと端っこに座り込む私。

徹哉くんと私の間に座り込んだ健太は、金魚をジーッと見つめている。

…こいつ、本気出して金魚すくいやる気?


完全にガチな雰囲気の健太を見て、隣の徹哉くんは笑いを堪えていた。

まあ、純粋なんだろうね。

こんなチャラそうな見た目で、中身は少年。

なんてギャップ。


「よし!俺の目標、3匹!」

「はっ?少な!」

「え?愛香は3匹以上すくえる自信ある?」


いや、ないけどさ。

ガチな雰囲気出してただけなのか、あんたは。

その本気な眼差しで、3匹が目標ってさ。

そりゃ、私だって反応してしまうって。

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