《MUMEI》

ついに俯く私。

すると、健太は予想外な言葉を口にした。



「愛香が寂しいと、俺も寂しい」



気づくと、健太は片手で私の肩を支えてくれていた。

笑うかと思ってた。

またいつもみたいに、"ちゅーしたい"とか、馬鹿みたいなこと言うと思ってた。


…気が狂うじゃん。

何よ。俺も寂しいって。


「…馬鹿じゃん、健太」

「仕方ないじゃん、馬鹿なんだからさ」


健太がいる左側が、何だか温かくて。

何だろ、コレ。

何なんだろ、この変な感じ。

意味分かんないよ。


「あ、金魚、5匹とれた!愛香、1匹もとれてないし、あげるよ、俺の」

「………ありがと」


素直にそう言った私に、健太は目を丸くした。

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