《MUMEI》

健太のこと聞かれるなら来なきゃ良かった。

今、まさにそいつのことで頭ん中グシャグシャなのに。


「だってだって!お祭りでちょっといい感じだったじゃん!」

「どこがよ」

「金魚すくいんときとか!」

「えっ!梨華子と亜希、聞こえてたの!?」


私がそう叫んだ瞬間、ピタッと止まる二人。

…やってしまった。

自爆しました、自爆。

これはもう、話さなきゃいけない雰囲気だ。


にっこり笑いながら、顔を見合わせる梨華子と亜希。

…はい。私は見事に二人の罠に引っかかりました。


仕方なく、私は全部話した。

別に大したことじゃないんだけど、と、最初に言ったが、二人は終始ニヤニヤ。

何を考えてんだか、ほんと。

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