《MUMEI》

「"好き"とまではいかないかもしれない。だけど、"気になる奴"にはなってんじゃない?」


梨華子のその言葉を、否定することが出来なかった。

あのお祭りの日から、確かに健太が頭から離れない。

だけどその理由は、あいつが変なことを口にしたからだと思っていた。

…でも、それだけじゃないってことが、亜希と梨華子によって証明されてしまった。

私は…健太のことが気になっている。

完全に"好き"ではないけれど、あの左側に感じた温もりを、私は忘れられない。


私の中で、矢崎健太は確実に大きな存在になってる。


「…何か…悔しい…」


亜希と梨華子は笑っていた。

"それが恋ってもんだよ"って。

…恋、なの?

健太に対する私の想いは。


まだハッキリとは分からないけれど、悔しいくらいに、今の私の頭ん中は、

あいつでいっぱいなんだ。

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