《MUMEI》

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面倒くさそうにぼやくと憂は無表情のまま答えた。

「この世に存在する怪奇現象を調べるのが『怪奇倶楽部』の務めでしょう?」

「務めって…」

何でそんなに大それた物言いを。

「んなことひとりでやれよ」

「あなたもメンバーなのだから同好会の決定に従う義務があるわ。それに二人の方が何かと効率的よ」

毅然とムチャクチャな理論を展開する憂に呆れながらも俺は、あのな…とさすがに反論する。

「君が言い出すことは例外なく計画性のない活動内容だし、信憑性のないものを検証するなんてそもそも無理なんだよ。元はといえばこの同好会に俺が入ったのだって君が勝手に決めてしまったせいなんだから、その義務とやらを俺が果たす義理はないだろ?それに効率が良い悪いは君の都合であって、俺が関知することじゃない」

わかったか?と念を押すように一応付け加えてみた。が、憂は全く動じることなく言い返す。

「経緯はどうあれ、あなたはこの『怪奇倶楽部』のメンバーとして学校に届けられているの。同好会の全ての活動内容は決定権を持つリーダーによって左右される。同好会の退会についてもリーダーの承認が必要なの。そしてその決定権と承認権は共に、リーダーであるわたしにあるわ。よってあなたはわたしに逆らえない」

わかったかしら?とのうのうと返された。それは一見噛み合っているようで実は全く噛み合っていない返事でしかもとにかく威圧的である。一体どこの暴君だ。

俺は頭を抱えながら、あのさぁ…と呻くように呟く。

「来週、何があるか知ってる?」

もちろん期末テストのことを揶揄したつもりだった。憂もテストの日程は把握しているはずだ。

彼女は、当然よ、と自信たっぷりに頷き返す。

「来週の火曜日に『戦慄!ホントにあった恐怖体験 パート14』が放送されるのでしょう?」

毎年このシーズンに定番となっているテレビの怪談特番のことである。へぇ、そうなんだ。もうそんな季節か。


って、感心している場合ではなく。



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