《MUMEI》
一羽の小鳥
水瀬が髪を切ったのは休みが明けてからだった。



風に舞う彼女の毛先を見ていたらすっきりした。夏休みは講習受けよう。無料だし。



「バイトしない?」


「……やだ。」
このやり取り何回目かな。


「じゃあ一人でバイトか」
七生のこの顔は渋々、と言ったところかな。


「勉強はしないの?」


「勉強嫌い。就職するし。」


「ふーん、じゃあ勝手にすれば!」
就職、いざ本人の口から聞くと苦しい……。

結構、キたな。今のは。



皆いつも通りに話しているけど向いて見ているのは一人一人別々の方向なんだ。

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