《MUMEI》
転校
「ありがとうございました。」
父と母はそういって引っ越し屋のトラックを見送る。

「康介。何してんだ。早く中に入れ。」
父は僕の名前を呼び家の中にはいるよう促した。
父は元プロ野球選手。現役を5年前に引退し、今年地元である山口県の大学に監督として招かれた。単身赴任という選択もあったようだが母と話し合った結果こうなったらしい。

「康介。明後日から学校やけど準備できとるんか?初めてで分からんやろうけどしっかり頑張るんぞ。」

「うん。頑張る。ちょっち散歩行ってくる。」

僕はそう言って家を出た。

しばらく歩くと野球場が見えてきた。でもとても古くて正直学校のグランドのほうがましに見えた。外野は芝ではなく草だった。

「おっ、もしかして噂の転校生?」

後ろから突然声をかけられ僕はびっくりした。

「ね?転校生でしょ?ふぅ〜俺1番乗りぃ〜」

「君は?」

「はい!狭間中学校1年3組間中聡です!よろしくぅ!」

「あ、僕は浅沼康介。狭間中学校の転校生です。」

「固いねぇ〜明後日から一緒の学校なんだからさぁ〜」

「う、うん」

「早速だけど部活は何にはいるんですか!」

「まだ何入るか決めてなくて…」
「はい!じゃ野球部決定!明後日から仮入部やけぇ。グローブとかある?」

「一応…」

「何?野球やっちょったん!?じゃ話は早いやん。明日ここ来れる?キャッチボールしようや。じゃそろそろ塾やけ帰るね。じゃそゆことで!」

「あっ、ちょ…」

「野球か…」

僕の頭を嫌な思い出がよぎる。

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