《MUMEI》
過去
「浅沼康介です。今日からよろしくお願いします。」

地元の少年野球のチームに僕は入った。

「浅沼君のお父さんはなんとプロ野球選手の浅沼選手なんだぞ。」

監督がそういって僕を紹介する。

「ポジションはどこがいい?」

監督が尋ねてくる。

僕は迷わず

「ピッチャーがやりたい!」

と答えた。

僕はなぜだか球が速かった。小学生で110キロという球を投げていた。でも父は外野手。自分の才能だと思っていた。
僕はすぐにエースになった。とても野球が楽しかった。

たけど僕がエースになったことを喜ばない人もいた。

「おい。康介。お前ピッチャー辞めろよ。」

僕の一学年上の六年生だった。
「康介が来たせいで隆司がピッチャーできなくなったじゃん。」

「俺は隆司のほうがいいんだよ。お前一人で三振とるだけじゃん。守ってても面白くないんだよ。」

「どうせお父さんから教えてもらってんだろ?」

「あっ分かった!こいつドーピングしてんだよ!」

「ドーピング!ドーピング!」

僕は6年生三人に囲まれて罵声を浴びせ続けられた。それ以来僕は自分の思うように投げられなくなった。監督にも肩が痛いといってピッチャーを辞めた。それから小学生を卒業するまでけっきょく投げることは出来なかった。

僕はあんなに好きだった野球がもうどうでもよくなってしまっていた。

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