《MUMEI》

しずか「え!?…でも私も急いでる――…」



ママ「 早 く 出 な さ い。」



ママは怒りだす一歩手前の声で、私の言い分を遮ったの。



――… ス ネ オ ! 殺 ス !



私はしぶしぶママの手から受話器を受け取ったわ。



*スネオ『もしもし、しずかちゃん?


…林檎は……買い足してくれたかい?』



受話器を耳にあてるなり、スネオさんは暗い声で問いかけてきたわ。



――…なに!?そんな用件でわざわざ電話してきたの!?



一瞬、苛立ちに声を荒げそうになったけど、ママも近くに居ることだし、懸命にその衝動を飲み込んだわ――…。

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