《MUMEI》

映画は13時から。

とりあえず券だけを買って、近くのファミレスに。


「腹減った〜何食おうかな〜」


何か変な感じ。

学校では、健太はいつも隣にいるから。

こうして向き合うことなんて、なかなかない。

…でも、やっぱり健太って綺麗な顔立ちしてるな…。

目の前にいるから、まじまじと見てしまう。

すると私の視線に気づいた健太とバッチリ目が合ってしまった。


「何?俺、何か変?」

「…あんたはいっつも変だよ」


…また言ってしまった。

私、ちょっとは可愛らしいこと言えないのかな…。


「ひっでぇなあ…。あ、愛香はいっつも可愛いよ!」

「それはどうも」

「愛香ってほんとに可愛いのに、めちゃくちゃクールでギャップありすぎ!」

「それ、よく亜希に言われたよ」


梨華子は美人系だったから、クールでもそんなに違和感はなかったらしい。

てか、私ってそんな"可愛い"って思われるような顔してるっけ?

自分の顔にはコンプレックスしかないんだけどな。

"愛香って童顔だね"

一番最初に梨華子が私に発した言葉。

中学の時の友達にも、元カレにもずっとそう言われてて、いつしかそれがコンプレックスになっていた。

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