《MUMEI》 「ぁ///…い、っしょに…お食事でもいかがでござるか!拙者の手料理を振る舞いたいんでござるよ!」 言ってしまった…案の定キース殿は驚いているみたいでじっと僕を見つめていた。 やっぱり迷惑だったかな…あぁやっぱり誘うんなら『レストランでも…』とか言えばよかったかも、でもそれじゃダメなんだよ…。 「いいね!それは実にいいね!」 「え///」 ダメもとだと思っていたのにキース殿は僕の背中をポンポンと叩き、キラリと光る白い歯を見せて僕に笑いかけてくれた。 キース殿と一緒にディナーが出来るなんて…。 それだけでも嬉しくてたまらないのに、こうやって肩を組んでくれた、恐悦至極にござる! 「ところで何を振る舞ってくれるのかな?キミの事だから日本食だろうね!」 「そうでござる♪さすがキース殿は拙者の事を分かってくれているのでござるな///」 二人で街にあるスーパーマーケットに寄ると、僕は真っ先に鮮魚のコーナーに向かった。 「イワン君どうしたんだい、そしてどうしたんだい?」 「こ…これでござる」 そう、今回のメインテーマ、ロウフィッシュ…”刺身”である。 「正直申すと一人では少々不安で…」 今まで火を通していない生のものというのは食べた事も無いが、日本好きとしては避けては通れない道だった。 「そうだったのか、ぜひキミに協力出来る事は何だってさせてもらうよ、ぜひ!」 「あ…///ありがたいでござる!」 結局僕の自宅の方ではなく、キース殿は一人と一匹暮らしという事で、僕の方がキース殿のお宅にお邪魔する事になってしまった。 キース殿の部屋にはこうやって靴で上がれるけれど、僕の部屋だったら土足禁止の和室なので知らない人は戸惑ってしまうかもしれない。 前へ |次へ |
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