《MUMEI》

どうしよう。

ほんとにほんとに無理。

もう心臓はバクバクだ。

するといきなり不気味な音楽が画面から流れ出す。

おそるおそる大画面に目を向ける。どうやら映画が始まったみたいだ。


やっぱり、まじで無理だ…。

もっと違う映画にしとくべきだった。


「きゃああ!」

「うわあっ」


そんな悲鳴が次々と飛び交う。

最初からもうそんな感じなの?

もう体の震えが止まらない。

大画面から目をそらしてるだけだから、音は普通に聞こえる。

その音だけで映像を想像してしまう。


…駄目。ほんともう無理…。

ガキみたいだけど、恐怖で涙が出そう。


「…愛香…ほんとお前…」


隣でそう呟いた健太。

馬鹿だよね。健太のこと言えないよね。

だけど…だけど、私…健太のこと気になってるから…。

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