《MUMEI》

花火大会、か…。

今日の付き合ってもらったし、私にこの誘いを断る資格なんてないかあ…。


「…別にいいよ」

「まじか!うっわ、まじか…」

「自分で誘っといて何よ」

「…浴衣着てこいよ!今回は愛香に拒否権ねぇから!」


…は!?浴衣!?

意味分からない!

浴衣なんて動きにくいし、もうずっと着てないし…。


健太は悪戯っぽく笑うと私の手を握って歩きだす。

…何かこれ…端から見たら普通にカップルみたいじゃん…。

でも…もう別にいっか。

握られてる右手がすごく熱い。


…あーあ。もうダメ。

とぼけらんない。


私は、この馬鹿野郎のこと…

好きになってしまったみたい。



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