《MUMEI》 「浴衣なんて珍しい。デート?」 ニヤニヤしながらそう聞いてきたけど、私はスルー。 ほんとに恥ずかしい。 家を出る時間が近付くにつれ、鼓動がはやくなる。 鏡で何度もチェックする私。 …ほんと…気にしすぎでしょ、私ってば。 外に出ると、生暖かい風が私を包んだ。 もうすぐ8月も終わって、9月になるんだ。 もう夏も終わる。 学校の前に着くと、浴衣着てる子をちらほら見かけた。 花火大会行くのかな、あの子たちも…。 てか、早く来てよ健太…。 …いや、やっぱり来ないで。 うわ…ほんとに緊張してきた。 どうしよう…。 二人っきりなんて、この前もう経験したじゃん。 …相手が健太だから? 好きになっちゃったから? 前へ |次へ |
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