《MUMEI》
もう一つの悪魔退治
「灰も残らないなんて…」


埋葬すら許されないのか?

やる瀬なさが加奈子の胸を絞めつける。


「いやぁ、最後に凄いモノが見れたねぇ!」

「………。」


「もうスッカリ朝になっちゃったしそろそろ帰ろ!」


「………。」


「加奈子も帰ったら?もう、此処にいる意味ないでしょ?」


「………。」


「あ、無視?まぁ、いいけどね。」


何の返事もない加奈子を放って、美雪は扉に手を掛けた。


「あ、そうそう。此処ね、あと数時間で爆発するからその前に逃げた方がいいよ?」


「…さない。」


「え?何?聞こえない。」

「許さない!!」


加奈子は出て行こうとする美雪の頭目掛けて振り落とした。



焼け跡に残された、リョウを貫いた鉄パイプで



動かなくなるまで




何度も何度も振り落としていた。

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