《MUMEI》

ちょっと歩いて、人気もなくなってきた。

着いたのは、神社だった。


…こんなところに、神社があったんだ。

ちょっと高い場所にあるから、景色が綺麗に見える。

だから、空も近い。

これは絶対に綺麗に花火が見えるな…。


「…健太、よくこんなとこ知ってたね…」

「この神社もうすぐなくなるらしいよ。俺ずっとここらへん住んでんだけど、ガキんときによくばあちゃんに連れて来られたんだ〜」

「…なくなっちゃうの?ここ」

「…らしい。神社がなくなるってどういうことだよなあ!」


そう言う健太は、なんだかちょっと寂しそうだった。

健太、ずっとここらへん住んでたんだ。

…私は、小さい頃、今住んでる場所に引っ越してきたからな…。


私は神社を見渡した。

あんまり広くなくて、ほんとにごく普通な神社。

鳥居の赤がちょっと色褪せてるから、結構昔からある神社なんだろうなあ。

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