《MUMEI》

「…何言ってんの、健太…馬鹿なんじゃない…?」

「馬鹿だよ。馬鹿だけど、馬鹿なりに俺はいろいろ考えてる。愛香が映画に誘ってくれたとき、嬉しすぎてやばかった。夢かとも思った。
…なあ、愛香…もう一回聞く。愛香は俺のこと嫌いか?」


…嫌いなわけ…嫌いなわけないじゃん。

むしろ私は…あんたのこと好きなんだよ。


「…意味分かんない…」

「俺、真剣に聞いてんだよ!なあ!こっち向けよ!」


右手で腕を捕まれて、勢いよく引っ張られた。

その引っ張られた衝撃で、私は健太の方を向いてしまう。

…やめてよ…。

体がすごい熱いよ…。

健太は鈍感なの?

顔が赤いのにも、全然気付いてないみたいで。


「愛香…嫌いか?俺のこと…」

「馬鹿みたい…嫌いなら今日の花火大会ドタキャンしてるし、映画にも誘ったりしないよ」

「…じゃあ、どう想ってる?俺のこと…」

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