《MUMEI》










「……かえりました」

「遅!怖いくらい遅かったよ!?」
「おかえり〜ジュースは?」

「ん」








持ってた紙パックのジュースを二人に差し出す














「そういやさ、花笑がいない間にすごいニュースが入ったよ!」

「?」

「1年の一番人気だった女の子がさっきフラレたらし―よ?」










ニコニコしながら言ってくる葵、

あたしは紙パックにストローを突き刺し吸った。

ゴクッと飲んでから…










「知ってる、見たもん」






「………………は!?」











目を丸くした七瀬と葵













「ジュース買おうとしたら丁度さそのシーンが始まってて、出るに出れずどうしたもんかと草影から見てた」

「…………要するに覗き見ってわけね」

「失礼な!したくてしたんじゃない!」











抗議しながらジュースを一気に飲む。














「でもいいな−花笑」

「?何で」

「だぁってその子のプライドが粉々に砕けた時の表情が見れたんでしょ?見たかったな―」

「性格悪!!」

「目、悪いから見えなかった。今度そんなことがあれば写メってくるから心配するな」

「それは優しさでもなんでもないぞ花笑!」










七瀬は毎回こういったことにツッコみを入れて体力が奪われる。










「ねぇ、じゃあ花笑見たんだよね千尋くん♪」

「……………よんでいる〜胸〜の…」
「誰がジブリつったよ、もしかしてアンタ……千尋くん知らないとか言わないでよ?」

「知らん」










「「…………………………………」」








またも時が止まった。

なんなんだ、花笑の眉間にシワが寄せられる



















「…………お、………前はバカですか――――――――!?」

「ええぇ!?」









急にそんなことを言われて戸惑う。
















「いい?花笑、東堂千尋くんは人気なの、フルーツで例えたらパイナップルぐらい!」

「すごいな!」

「ごめん、あたしわかんない」


「バレンタインになると机や下駄箱はチョコで埋もれかえる」
「うらやましい!」

「中学のころ、卒業式では学ランすべてのボタンがむしり取られて悪漢に襲われたかのような姿になり」
「いや、それは怖いな!」

「とにかく人気!他の男子がジャガイモに見えるぐらいの美人顔!」







美人顔……………?












「あ、そんな奴なら見た気がした」

「「!」」

「口悪かったからあたし嫌いだ。山田花子なんて言われたし…あたしのこの何処が山田花子だ」

「話したの!?」

「??ちょっとだけだよ」









サラリと口にする花笑、













「マジかよ―いいなぁ、あたしが行きゃよかった」

「かっこよかったでしょ―?」

「まぁ、美人かもしらんが………どうでもいい」


「「…………………………」」

「ほんっとどうでもいい」















コイツ将来結婚できるのか不安になってきた二人だった。













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