《MUMEI》

屋上に来るのは…あの彰と話した時以来か…。


結局、あのあと健太とは話すこと出来ずに今に至る。

…せっかく、彰なりに背中を押してくれたのに。

ほんとダメだな、私。

強気な態度だけが取り柄なのに、素直になれない意地っ張りな私が邪魔をするんだよね。


重たい屋上の扉を開ける。

すると、ちょっと冷たい風が一気に私を包み込んで。

もう、本格的に秋だと思わせるような涼しさ。


屋上に足を踏み入れ、ある場所に視線をやった時、私は目を疑った。


…あの後ろ姿…もしかして…。

でも、あいつ確か教室を出て左に…。


人の気配を感じたのか、先に屋上にいた、ソイツはゆっくりとこっちを向く。

そして私を見た瞬間に、目を丸くした。

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