《MUMEI》

やっと健太は、こっちを向いてくれた。

久しぶりに真っ直ぐ健太の顔を見る…。

相変わらず、綺麗な顔立ちしてるな、こいつ…。

夕日に照らされて余計に綺麗で…。


「なあ…俺、愛香なら普通に話しかけてくると思ってた…"いきなりキスとかありえない"なんて言いながら。
…でも、そんなの無理だよな。あのキスの前に、俺がマジで告白しちまってんだし…」

「…私だって…健太なら話しかけてくると思ってたよ…」


お互いにそう思ってたから、お互いに話しかけることを躊躇ってしまってたんだ…。

それに…私も健太のことが好きだから。

健太があんなに真剣に告白してくれたのに、私、ちゃんと返事してないから…。


不器用過ぎるんだ。

私たちはお互いに。

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