《MUMEI》

心臓がうるさい。

もう多分、私は耳まで赤いかもしれない。

だけどきっと、健太は馬鹿だし、私たちは夕日に照らされてるから、気付かないよね。


「…健太…私も、さ…馬鹿みたいに…
あんたが好き…だよ」

「…あ…愛香…え…?ちょ…もう一回言って!」

「…ふざけんな!聞こえてたでしょ、馬鹿!言わないから!」


恥ずかし過ぎて、私は健太に背を向けた。

その瞬間に、私は健太の腕に包み込まれて…。


…やっぱり、あったかい。

あのお祭りの日、左側に感じた温もりだよ。


「…愛香…ありがと…」

「……うん…」

「……やっぱり、もう一回言って!」

「…殴るよ?」


口には出来ない。

私は多分、相当不器用で素直じゃないから。

だけどそのかわり、心ん中では馬鹿みたいに"好き"って…思ってるから…。


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