《MUMEI》

案内使は、また樹紀の手首をぐっと引っ張って奥のトイレに入った.

「こんなところでなにを?」

樹紀が質問した.しかし、案内使は何も言わずブツブツと何かをつぶやいているだけだ.

「リッシュン…ダ―ク……ロナイドシュ…」

そう案内使が唱えると、案内使のてが黄金色に輝きだした.
案内使は、その指で樹紀と自分を囲んだ.

「な…?!」

「黙っとれ」

そういってまた、なにやら言いだした.

「アデュ…シルバースブライン…ブライン…第二飛行…」

そう唱えると、ふっと地面が消えまっさかさまに落ちて行った.

「っ〜〜〜〜〜〜〜〜!!!」

叫び声は声にならなかった.

数秒立つと下から、光が見えてきた.

「もうそろそろだ.」

案内使はへっちゃらな顔で言う.慣れているのか….

「もう着く!!全身に力を入れろ、骨が折れるぞ….」

「ひっ、ひゃい!」

わけのわからない言葉を言ってしまった.
陽がどんどん近くなる.

「「ドォォォォ―――ン」」

しゅうぅぅ…煙が晴れ、でてきたのはにぎやかな街…だった.

「わぁ…すごい….」

そう言えずにはいられなかった.

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